Changing variables(可変要因を変えること)

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ここ数日頭を悩ませていたことが解決できた気がします。

クラッド材で出た締まった黒が銀メッキでもほしいと思い、いろいろやっていたら黒は出たものの、感度が急に落ち、今までと同じ露光時間では露光不足になっていました。

まず最初に頭に思い浮かんだのは、クラッド材と銀メッキでは磨き方は同じではいけないかもしれないということ。感覚的には銀メッキの方が柔らかく、機械で力任せに磨くともしかしたら研磨剤がその振動などで入り込んでいるんじゃないかな、とう印象を受けました。何せ感覚の問題なのでこれが本当かどうかはわかりませんが、とにかくクラッド材の倍の時間をかけてどんなにがんばって機械で磨いても暗い。では、露光時間を長くすれば良い、という話になりますが、そうすると今までやってきた私の中でのダゲレオタイプの常識が覆されてしまうのです。 ヨウ素だけで得られる感度はこの明るさではこのくらい、という自分の指標があり、今までずっとそれを信じてやってきてそれなりに画像を形成して来たので、今になって、はい感度が半分になりました、と言われると、それは結構なダメージです。

そういうわけでまた実験の日々なのですが、私はせっかちなので、いろんな考えうる要因を思いつくと一気にそれを変えて試してみたい。
たとえば今回の場合だと、バッフィング用の布がもう汚くなってきているのでもしかしたら変えた方がいいかもしれない、あるいは生地の種類を変えた方がいいかもしれない、研磨にもう1ステップ加えたら良いかもしれない、研磨剤を別なもので試した方がいいかもしれない、等々がぐるぐる日中頭の中をめぐり、いてもたってもいられなります。 

基本的に一般に公開されている手法通りにやったらきちんと画像は出るはずです。でも結局のところ自分の好みの画像に仕上げるためにはオリジナルのやり方にならざるを得えない気がします。 (・・・ということが3年かけてわかりました。)

昨夜は思いつく事すべてを変える準備を万端にし、どれもこれも一気に試したい衝動を抑えて一つだけ変更しました。

“ひとつだけ”、これが本当に重要。実験の基本。 いままでは2つも3つも同時に試していたことが多かったのです。

何を変えたかというと、機械研磨の際のステップを一つ増やしました。 汚らしいバッフィングの布を変えたい衝動をこらえるのはかなり戦いでしたが、結局その2つのvariableを変更してしまうとどちらによって効果がもたらされたのかわからなくなってしまいます。

さて、結果です。

この左のクラッド材のような黒の締まりと、2つの中間のコントラストが欲しいと思っていました。

すると黒は出たものの感度がぐっと下がりました。これでも露光時間を延長しています。

研磨のステップをひとつ追加したことで、かなり希望に近いものが出来ました。

クラッド材で白飛びしていた蝶の模様もきちんと出ています。
もう少しライティングの工夫が必要ですが、まぁ今回のモチーフでは85点。 ライティング以外の何がマイナスかというと、この画像ではあまり見えませんが若干磨き残しのような跡があること。そして極めつけは鍵と瓶の間についている「ひっつき虫」。。。(黒いひっつき虫がないので、次回は手垢で真っ黒にしたいと思います。)

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Daguerreotype advertisement(ダゲレオタイプ広告)

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一日のうち恐らく7〜8割くらいはダゲレオタイプのことを考えていますが、小さな別のブームがやってくるときはそれが減ります。最近はそれがなくなってきて、9割方思考がダゲレオタイプに占められているんじゃないだろうかと思うくらい頭から離れない。脳みそがダゲレオタイプに食いつぶされてゆく感覚です。  そういうときはたいてい何か問題にぶつかって、それを解決したいとき。

でも会社にいるとテスト作業ができないので何か別なことに没頭していないといてもたってもいられず、最近はダゲレオタイプの当時の広告を集めては手帳に貼っています。

昼休みの密かな楽しみ。あとは調べものとか。

さて、この広告の中身が驚愕なのです。

 

北向き・天窓のスタジオで撮影
1ドル
数秒で撮影完了、天候関係なし、満足保証
 

 

これ普通に考えたらすごいことです。。

天気関係なく数秒で撮影できて、絶対満足 (!!!)

行きたい・・・

当時の大手ダゲレオタイプスタジオは普通にこんな感じだったのでしょうか。

なぜ今の人は一枚写すのにもこんなに苦労しているんでしょう。(そして私はもう3年以上も奮闘しているのに、未だ1枚だって納得のいくものが出来ていない。)

私としては、当時のストーリーで気に入らないから金返せ、的なトラブルの話にも興味があります。

Clad vs Electro plate comparison (クラッド板とメッキ板の比較)

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昨日の午後に2枚目のクラッド板のテストを今度は自然光で行う予定にしていましたが、バイオリンの発表会があったのを思い出し、慌てて自転車で会場に駆けつけました。今回は他の生徒さんの演奏を聴きに行くのが目的。 私もいやいやながらも先生に勧められて出る予定でしたが私の弾きたい曲にすべてNG出しをされ、若干むくれて出たくない、と言って先生を悲しませました。
(その先生のとても悲しそうな表情を見て、ああー、次回は出ようと心に決めました。)

***
というわけで、送って頂いたクラッド材の2枚目テストが未完なので、1枚目のものと銀メッキで撮ったものの比較をしたいと思います。

条件はほぼ同じ。 

左がクラッド、右が銀メッキ。

明らかにクラッド・プレートの方がコントラストが高く、黒がぐっと締まっているのがわかります。
銀メッキの機械研磨がまだ不十分。

未だかつてこんなに黒が黒く写ったことがあったかな・・? というのが私の最初に思ったこと。
今までのダゲレオタイプはどれもコントラスト不足だったのではないだろうか。

ただ私個人的にはここまでコントラストがなくても良くて、この2枚の中間くらいが理想です。
それは数々の変数によって変わるでしょうし、なかなかコントロールするのは難しそうですが、銀メッキでなんとかこの締まった黒を出したいと思いあれこれ試してみました。

その結果。


若干露光不足ですが、近い黒が銀メッキでも出ました。 

ライトに当てるともう少し奇麗に見えます。 

ちなみにギルディングはいろいろ比較したかったため、敢えてしていません。

ダゲレオタイプにぐっと距離が近づいた気がしました。

・・・が、その後また頭をかかえる問題にぶちあたり、なぜダゲレオタイプはこうも近づいては離れてゆくのだろう・・・・、と悶々としています。

Does Annie talk to me?

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Annieを2ヶ月以上毎日のように撮り続けてわかったこと。未だAnnieは誰一人として私に語りかけてきてくれない。
ずっと一方通行で、時にはそんな私の焦燥をあざ笑うかのように見つめかえしてくるだけで、会話が成り立たないのです。

素晴らしいダゲレオタイプというのはそれが人物であれ物でさえ向こうから語りかけてきます。言葉も説明もいらない。
そして見る人は、あまりに強烈なので一瞬それが何なのかわからないのです。

いつか会話が出来るときがくるんだろうか。

前回新しい銀板に撮ったAnnieが今までの中で一番明るく写ったので(出来映えはひどいものでしたが)、それを消して同じ銀板を使っても明るく撮れるのか試してみました。

相変わらずひどいダゲレオタイプですが、明るさはほぼ同じ。ただ、機械研磨は相変わらずうまく行っていません。そしてまたしても黒い点が出ました。メッキ感度のテストなのでその辺はあまり気にしてませんが、この銀板の個体があまりよくない可能性もあります。

今度は3ラウンド目のテストをします。

Clad plate test(クラッドプレートのテスト)

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初期のダゲレオタイプはクラッド・プレートと言って、銅板と銀を張り合わせたものを圧延してカットしたものが使用されていました。 現代のいわゆるコンテンポラリーダゲレオタイプはもっとお手軽に銅板に銀メッキを施したものが使用されています。

銀の固さや純度などにも関係してくるので一概には言えませんが、質の良いクラッド・プレートであれば銀メッキよりも明らかによく写ります。
ただ小ロットでの購入が難しい上に高価なので、なかなか入手困難です。

私自身日本のメーカーに何社か当たりましたが、見事玉砕。 もしくはサンプルで1枚5万円とかいう恐ろしい値段だったりします。 まぁ、銀メッキでいいかと思っていたところ、このブログにたまにコメントをくださる戸倉さんが、中国のサプライヤーからクラッド材が安く入手出来そうだからまずはサンプルを使ってみてくれないかと連絡を下さいました。

戸倉さんは以前ダゲレオタイプを展示したときに奥様と見に来てくださって、「初めまして」と言ったら、実は以前湿板を展示した際にもお会いしていたとのことで、失礼きわまりない再会でした。
にもかかわらずニコニコとご対応くださり、とにかく心の広い優しい方で、ご自身もダゲレオタイプを撮影されます。
今回のサンプルも代金を支払うと言っても、趣味でやっていることだからと受け取ってくださいませんでした。
(・・というシンプルな表現ですまされる感じの方ではないので、それはまたいずれ。)

・・・というわけで、2枚のサンプルが今週無事届きました。(戸倉さん、ありがとうございます。)

実は今回のサンプルは戸倉さんによると、サプライヤーの扱いが雑だったために傷だらけで、使い物にならないかもしれないとのこと。それでもとりあえずは送っていただき見てみると、確かに傷だらけではありますが、思っていたほど状態は悪くない気がしました。

こちらが研磨する前。

ずっしりと厚みがあり、繊細さはないものの少々雑に扱っても大丈夫そうな雰囲気です。

そしてガンガンに磨いたあと。

この写真では奇麗に見えますが、表面はどんなに磨いてもぶつぶつと汚れたようなあとやムラがあり、もしかして混ぜ物でもしてあるんじゃないか、というような残念な質感です。   

うーん、これは難しいかなぁーと思いながら、試しに撮影した結果。

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写りました。

この写真では分かりにくいですが、想定外のとても素晴らしい写りです。 
コントラストが高くシャープで、私が使っている銀メッキのプレートにはない表情が出ました。

研磨も楽で、あれだけ機械と格闘していた私ですが、今回は写らない前提で適当なところで切り上げて撮影したのにしっかり写りました。
しかもヨウ素の乗りのスピードが全然違う。色は若干淡い感じで、いつもと明らかにトーンが違ったので戸惑いましたが、普段の半分から3分の1くらいのスピードで完了した気がします。

残念なのは厚みと見た目のクオリティー。 表面がもっと奇麗になれば良いですが、さらに磨けば変わるのかそのあたりはまた実験する価値はありそうです。 厚みは重くなるというだけで、それほど大きな問題ではありません。

・・というわけで、さすがクラッド材、という結果になりました。
(すでにご自身でもテストされているかもしれませんが、もう少し質を改善できればGOですよ、戸倉さん。)

もう一枚を近いうちにテストしてまたアップします。