Engraving from a daguerréotype(ダゲレオタイプから版画)

Tags

, ,

ずいぶん前になりますが、下のようなあきらかにダゲレオタイプからプリントされたであろう絵を見て、これはどうやって作るのか聞いたことがありました。(誰に聞いたのか忘れてしまいましたが・・・。)


source : http://www.earlyphotography.co.uk/site/entry_T4.html

その時の答えが、「おそらくこれはエングレービングだよ。」

・・ということで、エングレービングとは何だろう・・と調べたら、版画の一種で何やら難しそう。ああこれは手が出ないなーとそのまま忘れていたのですが、それにちょっと似ているものを体験で作りました。

子供が描いたような絵になっていますが、一応元はダゲレオタイプで、れっきとした版画です。
原画はもっと美しいのに、こんなにしょぼしょぼな仕上がりになりました。

最近私がずっと撮り続けている小鳥。
(なぜ卵がそんなに巨大なんだ・・というところは置いておいて。。。訳あり卵なのです。)

元はダゲレオタイプといいましたが、別にダゲレタイプである必要はもちろんなく、単に自分が撮ったダゲレオタイプを版画にしたかったというだけの話で、原画は普通の写真でもイラストでもなんでも良いのです。

ドライポイントという手法で、ニードルで絵を描いて、その上にインクを乗せて簡易プレス機で刷る、という黙々と童心に帰れる一見おままごとちっくな作業です。

私は絵心皆無につき、ダゲレオタイプをプリントしたものを上からなぞりました。

できたら額装して飾ろう! と、もうイメージまですっかり出来上がっていましたが、仕上がりを見てがっかり。
なぞるだけだから簡単と思っていたら意外と難しかったです。おままごとちっくなんてとんでもない。。。 細やかな作業が得意な人向きのプロセスです。

これが原版。銅板ではなく透明のプラスチック。

版画の世界はエングレービングとかエッチングとかいろいろあるようですが、これなら家でできそうなので、またチャレンジしてみたいと思います。世の中はまだまだ私の知らない楽しいことがたくさんあります。

Advertisements

daikanyama photo fair 2018(代官山フォトフェア2018)

Tags

, ,

*Basic info. on making Daguerréotypes ③(ダゲレオタイプ制作の基本③)に加筆しました。

2018年9月28日(金)〜9月30日(日)に代官山で開催されるフォトフェアに私のダゲレオタイプが1、2点展示されます。

http://fapa.jp/fair-2018/

5月の個展で展示したものなので、いらしてくださった方はすでにご覧になっている作品です。
(出展者情報のギャラリーの中に一点掲載されています)

Basic info. on making Daguerréotypes ③(ダゲレオタイプ制作の基本③)

Tags

, ,

研磨が無事完了したら次はいよいよ薬品登場です。

②ヨウ素の蒸気を鏡面(撮影面)にあてる。

ヨウ素は劇薬です。必ずドラフトチャンバー内で、防毒マスク、グローブ、ゴーグルをつけて作業してください。

飲み込むと有害
吸入すると生命に危険(気体、蒸気、粉じん及びミスト)
皮膚刺激
強い眼刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性

キシダ化学株式会社 ヨウ素 安全データシートより

このような結晶のヨウ素を用意します。メーカーは問いません。銀板のサイズにもよりますが4x5であれば500gもあれば十分です。

 

さて、この銀板の撮影面にヨウ素の蒸気をあてるという作業ですが、ここに道具が登場します。

この図で”Iodine and Bromine Box”とかかれているものです。

ヨウ素用と臭素用の2つが必要です。英語ではsentizing box、fuming box、coating boxなどと呼びますが、ここでは便宜上”ヨウ素箱”と呼びます。

このビデオがそのしくみをよく表しています。

20秒くらいのところで透明のケースを設置していますが、この中に底が見えなくなる程度の量のヨウ素を敷き詰めて使用します。

こちらはすりガラスが使われているシンプルなタイプ

SOURCE : http://www.daguerreobase.org/da/type/0a5ba3ed-a66d-75dd-4b12-256246cb3ffc

Mikeさんの道具。

(photo by 4tographique)

ダゲレオタイプ友達の息子さんの道具。

(photo by 4tographique)

 

 

私のお手製。

 

上のヨウ素箱たちと、私のお手製のヨウ素箱にはあきらかに大きな違いがあります。
何だかわかりますか?

それは高さです。

上のフォルダーの窓に銀板の撮影面を下にして設置し、スライドさせてヨウ素の蒸気をあてますが、銀板表面からヨウ素の距離がありすぎると蒸気が銀板に到達する時間がかかりすぎてしまいます。

ですので私のヨウ素箱は失敗作、ということになります。作り直すのは大変なので、下にガラスを何枚も重ねて底上げをして使っていました。

ちなみに数週間でガラスはこんなに変色します。ヨウ素の仕業です。(正確に言うとガラスの上のコロジオンに反応しています。)

最適な距離はどのくらいか・・・といういとあくまでも私の経験上ですが、5〜6cmくらいが良いのではないでしょうか。

ヨウ素は金属と反応する性質があります。ですのでヨウ素箱に金属を使用すると腐食します。
また気体が漏れますので、箱は密閉度が高くなければなりません。(その点でも私のヨウ素箱は失敗でした。)

さて、そのヨウ素箱が用意出来たと仮定して、そこにヨウ素を敷き詰めるまでは明るところでできますが、その後の作業は撮影時を除き水銀現像まで暗室となります。
ただ感度が低いため、薄暗い場所であれば大丈夫です。
暗室用ライトはつけていても問題ありません。 私はLEDの赤いライトを使用しています。

何度も言いますが、必ず換気の良いところでグローブ、マスク、ゴーグルをつけて作業をしてください。

ヨウ素の蒸気は銀板に均一に当てる必要がありますので、ケースの中ヨウ素は均等に敷かれていなければなりません。
フォルダーに撮影面を下にして銀板をセットし、スライドさせてヨウ素の入った箱の中心に銀板がくるようにします。このときスクリューは蒸気が漏れないように締めます。

ヨウ素をあてる時間は、気温や銀板の状態、そして自分の好みの画像によって異なります。
だいたい20度くらいの温度であれば20秒〜60秒くらいですがあくまでも目安です。
何をもって十分だとわかるのかというと、銀板の色の変化です。

過去に行ったテストからの写真ですが、ヨウ素を銀板の上に置くと時間の経過とともにこのようにリングが外側に広がっていきます。

色の変化は、黄色〜オレンジ〜マゼンタ〜紫〜青〜緑〜黄色 ・・と淡い色から濃い色に変化し繰り返されていきます。

実際に銀板にあてるとこのようになります。

これは1巡目のマゼンタ。銀板の磨きが悪かったのか少し濁っているように見えます。マゼンタの周りに最初に出た淡い黄色が見えますね。

さらに濃いマゼンタが出るまでヨウ素をあてたバージョン。すでに感光化しているので、日の光に当ててしまったらもう使えません。

こちらは2巡目の黄色です。1巡目よりも濃くなります。
(かなりムラがありますのであまり良い例ではありませんが。)

これらはあえて明るいところで撮影していますが、実際には暗室でこれらの色を確認しなければなりません。

セーフライトの下だと、この色がわからないので、懐中電灯を白い壁に反射させてその反射光でプレートの色を確認します。見えづらい場合はプレートの角度を変えてみてください。

さて、ではヨウ素は銀板が何色になるまであてれば良いのか・・・というところですが、ここは正直なところ好みによると思います。 ヨウ素と臭素のコンビネーションはたくさんあり、それによって画像やトーンが驚くほど変化します。
ここについての化学的な説明は今のところ私にや役不足です。

ヨウ素で淡いマゼンタまで持っていくのが一般的だと思いますが、いろいろな意見があるため、一概に正しい答えはありません。非常に複雑な条件が絡み合っているが故に、簡単に何色が良い、とは言えないのです。

ここはひたすら回数を重ねて自分のレシピを確立させてゆくのが一番だと思います。

**続く**

Daguerréotype salon project(ダゲレオタイプ・サロン・プロジェクト)

Tags

, ,

以前に”Daguerréotype Room Project”という記事をアップして、そのあと消したことがありますが、今回はそれとは異なる趣旨のものです。(ちなみに前回はダゲレオタイプで自分の部屋をいろいろ撮って掲載するというものでしたが、くそつまらない上に余計な内容も入っていたので一旦非公開にしました。)

今回のダゲレオタイプ・サロン・プロジェクトというのは何かというと、自分の部屋をダゲレオタイプ仕様にしていくという計画。

”プロジェクト”をつけると、ちょっと気合いが入る、・・というだけで、まぁ、言ってみれば「どうぞひとりで勝手にやってください」 という類のものであります。

具体的に何かというと、アンティークのダゲレオタイプや資料などをきちんと整理して、興味のある方に訪れていただき、ダゲレオタイプのことを知っていただく資料部屋を作ろうというのが目的です。
そしてもし希望があればダゲレオタイプの一部販売も考えています。(私の作品ではなく、あくまでもアンティークのダゲレオタイプの方です。)
とにかく当時の、普通のダゲレタイプではなく”美しい”ダゲレオタイプの実物を見ていただきたい、これにつきます。

そのための部屋作りをする計画です。

ちなみにこちらはちょっと古い写真ですが、奥にあるMacが置いてある作業台の天板が先日バキッと折れ、これを買い換えるのだったら一緒にサロン(?)計画を進めよう・・・と思い立ちました。

まぁ、サロンと言っても一般宅なので、今とたいして変わらない可能性大ですが(床には血痕がたくさんありますし)、それよりも今ある資料をきちんと読んでダゲレオタイプについてもっと勉強したいと思います。

La Femme de la Plaque Argentique(「ダゲレオタイプの女」)

Tags

, ,

週末はダゲレオタイプの制作しながら「ダゲレオタイプの女」を見ました。
いまさらですが・・。

もう2年近く前、ちょうど私がダゲレオタイプにのめり込んでいる真っ最中に発表された映画です。そのときはなんともタイムリーな感じがしましたが、気持ちの余裕が今よりもなかったのと、それを見ると何か情報が増えて頭が混乱してしまうのではないか、という不安があってあえて封印していました。

大きなネタバレはありませんが、まだ見てない方はこの先は読まない方がいいかもしれません。

受け取り方は人それぞれなのであくまでも私個人の感想ですが、正直なところちょっと期待外れでした。色々な意味で展開が若干強引な感じがして、それぞれの登場人物に感情移入しきれないまま さくっと終わってしまったという感じです。もう少し長い映画でもよかったのかも。。。  
また時を改めて見たら、違った見方ができるかもしれません。舞台や映像はとても美しいです。あぁー映画をとるって大変なことなんだなぁーとどちらかというとそちらに気が行ってました。

ダゲレオタイプの制作場面や道具はよく再現できていました。スタジオや道具類が素晴らしいのです。あんな環境で撮影できたらいいな〜・・・と妄想に埋もれながら見ていました。(もしかして、そっちに気をとられすぎて内容の方がおろそかになっていたのかも・・・!!)

肝心のダゲレオタイプ制作のシーンですが、120分の露光はもしかしてヨウ素しか使っていないのかな。。。それはさておき一番気になったのは水銀の入り混じった汚水を捨てる場面。ダゲレオタイプ制作においてそんな汚水は出ないはず・・・・。何か間違って伝わってしまったらいやだなと思いました。(いや、もしかしたら作業内容によっては出るのかもしれないけれど、少なくとも通常の方法だったら出ません。)
あと銀板の準備をアルバイトの助手にさせるというのも私としては納得いきませんでしたが、そこは映画の中では重要な場面ではないし、実際にあれ?っと思うのはダゲレオタイプを撮影する人たちくらいかもしれません。

死は幻。

この一言がすべて表しているような気がします。(ここは好きな場面。)

また改めていつか見てみようと思います。 ・・というより黒沢清監督の他の作品を見てみたいです。


2016年にもらったチラシ。 この裏に私が販売したアンティークのダゲレオタイプが掲載されていてびっくりしたのを覚えています。