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何やら怪しいサロンのようなところで、湿板とダゲレオタイプ(といっても実際にはダゲレオタイプとは似ても似つかないもの)を展示する夢を見ました。調度品もすべて古めかしく、まるで1800年代の、完全に現代社会から遊離したような世界。薄暗い、かび臭い部屋、意外と好きかも、と思いました。

私の関心はもはや写真ではないところにあります。それをもしかしたら写真と呼ぶかもしれませんがそんなことはどうでもよくて、そこにあるものを銀板に閉じ込める作業。手中に収めて眺めるのが良いのだと思いました。きわめてパーソナルな世界。

そしてそれは物質的なものではならないので、湿板のガラスから、さらにはもっと密度の高い、時間も空間も、そして細胞までをも封じ込めてしまうような、まるで3次元から4次元へつながるの入り口のような銀板へと心が惹かれていくのは自然なことでした。きわめて物質的でありながらその奥にはとらえどころのない空間が広がっています。

Les félinsというアラン・ドロンが出ている映画がお気に入りです。ジェーン・フォンダが最後にアラン・ドロンを屋根裏部屋のようなところに閉じ込めてしまう。それは建前上はかくまっていることになっているけれど、本当は所有したかったのではないかと思います。大事なものはすべて閉じ込める。一種のフェチズム。(ちなみに私はそういう欲望はあるものの実際に人をクローゼットなどに閉じ込めたりはしませんが。)

・・というわけで、過去にダゲレオタイプに見事に閉じ込められた少女。初めて実物をみたときの驚きはなんとも表現しがたく、しばらく言葉を失いました。そしてその記憶は古いケースを開けて見返すごとに新たな衝撃となって永遠に塗り替えられてゆきます。
1845年にマサチューセッツで生まれ、1886年に亡くなりました。とても由緒正しい生まれで家系図などとともに記録が残されています。
annie

何度もいいますが、この画像が伝えられるのは実物の何十分の一ほど。ガラスケースなどに入れられた展示を見るのともまた違って、実際に自分の手に取って対話をするものです。

自分が思っていたよりもさらに高いレベルにあったダゲレオタイプ。170年前の技術が恐ろしすぎます。
さすがに今日はここに一緒に並べて失敗作をさらす勇気はないのでした。(明日以降、え、なんなのそれ、という「板」のオンパレードはまた始まります。)