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*前回の続きです*

一応基本をご紹介していますが、現代のツールを使ったりもしています。もし昔ながらの方法でやりたい、という場合はダゲールさんが書いた「ダゲレオタイプ教本」が日本語訳になっていますので、そちらを参考にされると良いと思います。また記事内容は私の試した内容や主観などが入っていたりしますので、これが正しいということではありません。

①銀板を鏡面になるまで研磨する。

まず銀板ですが、クラッド材は高価なのでメッキ板を使う方が多いです。(お金持ちの方はぜひクラッド材を。こちらの方が美しく写ります。当時の銀板もクラッド材です。)
銀メッキ層の厚みは10ミクロン以上がおすすめです。薄いと2〜3回ですぐ使えなくなってしまいます。
*クラッド材はCentry Darkroomで購入可能です。私も一箱買いましたが、もったいなくて一度試したあとは大切にとってあります。

さて、この銀板を鏡のようにピカピカに磨くという作業ですが、このステップは極めて重要です。(・・というより重要でない作業はありませんが。。)
少しでも汚れがついていたりしたら綺麗に写らず、この作業だけでも始めたころは研磨だけで1時間以上かかっていました。

手だけで磨く場合と、オービットサンダーのような機械を使う場合、あるいはマニュアルと機械を組み合わせたコビネーションの3種類の方法があります。当時はもちろんサンダーなどの道具がないので手で磨いていたわけですが、その出来栄えは見事なもので磨き跡がほとんど見えないものも多く存在します。この磨きの作業は熟練が要され、当時も磨きの専門がいたようです。現代でも研磨の技術を競う大会があるくらいなので、研磨がそれほど簡単なことでないことがわかります。

前回の挿絵の道具の中では、”Hand-buff” というのが銀板を研磨する道具です。

この道具はPolishing puddle やBuffing puddleなどと呼ばれますが、簡単に作ることができます。

おまとめサイト的にお手製Hand buffを集めてみました。

こちらはシンプルな作りのもの。

source : http://www.atticusludwig.com/daguerreotypes/

そして当時のものです。こちらも極めてシンプル。

source : https://www.fi.edu/history-resources/daguerreotype-photography

こちらはMike Robinsonさんの道具。美しいです。
(photo by 4tographique)

湿板でおなじみのQuinnさんの道具。

source : http://studioq.com/blog/tag/mercury-pot?currentPage=2

私がダゲレオタイプを始めるにあたりとりあえず作った素人感漂う一品。このあと何度か作り直しています。

それほど出来栄えが美しくなくても要は細長い木の板に布をはり付ければ代用が可能です。
ただ布がよれたりするとうまく磨けないのでピンと引っ張ってきっちりはります。

その「布」は何なのか、という話ですが、いろいろ意見があります。
昔ながらの方法としてはセーム皮(鹿の皮)が一般的ですが、それ以外にもフランネル、ウルトラスウェード、ベルベットなど、これでなければならないというわけではなく、特に現代になってからはいろいろみなさん試されているように思います。
(FBなどのグループで最新情報が得られると思います。)
自分が使い易いものが人それぞれあると思いますのでいろいろ試されるのも良いかもしれません。

通常はこのパドルを2本用意し、一本は磨き用、もう一本は仕上げ用とします。
基本的な研磨剤はベンガラ(ルージュ)と言われる酸化鉄を使用します。
(基本的な、と言いましたが、これ以外の研磨剤でも要はきれいに磨ければ良いのです。)

昨年いただいたルージュ。

これをパドルに軽くふりかけて、縦横斜め、ひたすら磨きます。その回数は銀板の具合にもよりますので一概に言えません。とにかく鏡のように、曇り一つなくピカピカになるまで、縦横斜め、何百回も磨きます。

こちらはMikeさんが磨いている様子。

(photo by 4tographique)

下の台は銀板を抑えて磨きの動き従ってブランコのようにスウィングするようなしくみのものです。

これは以前に記事で紹介しましたが私の私物。

このスタンドを自作される方もいます。

source: https://agno3solution.wordpress.com/2014/07/05/polishing-stand/

このアームスタンドがなければならないかというと、なくても特に問題はなく、私の場合今はほとんど使っていません。

機械を使う場合はこの作業を機械に変えるだけです。グラインダーやオービタスサンダーなど人によって使う機械は様々です。数千円で売っている普通のサンダーを使っている方もいます。

こちらはグラインダー方式。


source : http://www.daguerreotypes.co.uk/education.htm


source : https://artintersection.com/blog/daguerreotype/

ごく普通のサンダーを使っている方も。

source : http://www.catherinesegura.com/blog/an-afternoon-with-race-gentry-learning-daguerrotypes


source : https://projectdag.wordpress.com/author/jogane/

Alanさんは、布をサンダーにつけるのではなく銀板をつけるという逆バージョン。
みなさんこうやっていろいろ自分にとって一番やりやすい方法を見つけていくわけです。

この研磨作業が終わり、鏡面ができたら最後に仕上げのパドルで表面をさらに磨き上げます。

*追記分*
研磨の最後の仕上げは、撮影する方向に垂直にバッフィングして仕上げます。正面から見たときに横筋が入る感じです。これが縦に筋が入っていると光の反射の関係で像が見えづらくなります。

もちろん筋は見えないほど細い方が良く、当時のダゲレオタイプでも筋が見えるものとほとんど見えないものがあります。