Tags

, ,

研磨が無事完了したら次はいよいよ薬品登場です。

②ヨウ素の蒸気を鏡面(撮影面)にあてる。

ヨウ素は劇薬です。必ずドラフトチャンバー内で、防毒マスク、グローブ、ゴーグルをつけて作業してください。

飲み込むと有害
吸入すると生命に危険(気体、蒸気、粉じん及びミスト)
皮膚刺激
強い眼刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性

キシダ化学株式会社 ヨウ素 安全データシートより

このような結晶のヨウ素を用意します。メーカーは問いません。銀板のサイズにもよりますが4x5であれば500gもあれば十分です。

 

さて、この銀板の撮影面にヨウ素の蒸気をあてるという作業ですが、ここに道具が登場します。

この図で”Iodine and Bromine Box”とかかれているものです。

ヨウ素用と臭素用の2つが必要です。英語ではsentizing box、fuming box、coating boxなどと呼びますが、ここでは便宜上”ヨウ素箱”と呼びます。

このビデオがそのしくみをよく表しています。

20秒くらいのところで透明のケースを設置していますが、この中に底が見えなくなる程度の量のヨウ素を敷き詰めて使用します。

こちらはすりガラスが使われているシンプルなタイプ

SOURCE : http://www.daguerreobase.org/da/type/0a5ba3ed-a66d-75dd-4b12-256246cb3ffc

Mikeさんの道具。

(photo by 4tographique)

ダゲレオタイプ友達の息子さんの道具。

(photo by 4tographique)

 

 

私のお手製。

 

上のヨウ素箱たちと、私のお手製のヨウ素箱にはあきらかに大きな違いがあります。
何だかわかりますか?

それは高さです。

上のフォルダーの窓に銀板の撮影面を下にして設置し、スライドさせてヨウ素の蒸気をあてますが、銀板表面からヨウ素の距離がありすぎると蒸気が銀板に到達する時間がかかりすぎてしまいます。

ですので私のヨウ素箱は失敗作、ということになります。作り直すのは大変なので、下にガラスを何枚も重ねて底上げをして使っていました。

ちなみに数週間でガラスはこんなに変色します。ヨウ素の仕業です。(正確に言うとガラスの上のコロジオンに反応しています。)

最適な距離はどのくらいか・・・といういとあくまでも私の経験上ですが、5〜6cmくらいが良いのではないでしょうか。

ヨウ素は金属と反応する性質があります。ですのでヨウ素箱に金属を使用すると腐食します。
また気体が漏れますので、箱は密閉度が高くなければなりません。(その点でも私のヨウ素箱は失敗でした。)

さて、そのヨウ素箱が用意出来たと仮定して、そこにヨウ素を敷き詰めるまでは明るところでできますが、その後の作業は撮影時を除き水銀現像まで暗室となります。
ただ感度が低いため、薄暗い場所であれば大丈夫です。
暗室用ライトはつけていても問題ありません。 私はLEDの赤いライトを使用しています。

何度も言いますが、必ず換気の良いところでグローブ、マスク、ゴーグルをつけて作業をしてください。

ヨウ素の蒸気は銀板に均一に当てる必要がありますので、ケースの中ヨウ素は均等に敷かれていなければなりません。
フォルダーに撮影面を下にして銀板をセットし、スライドさせてヨウ素の入った箱の中心に銀板がくるようにします。このときスクリューは蒸気が漏れないように締めます。

ヨウ素をあてる時間は、気温や銀板の状態、そして自分の好みの画像によって異なります。
だいたい20度くらいの温度であれば20秒〜60秒くらいですがあくまでも目安です。
何をもって十分だとわかるのかというと、銀板の色の変化です。

過去に行ったテストからの写真ですが、ヨウ素を銀板の上に置くと時間の経過とともにこのようにリングが外側に広がっていきます。

色の変化は、黄色〜オレンジ〜マゼンタ〜紫〜青〜緑〜黄色 ・・と淡い色から濃い色に変化し繰り返されていきます。

実際に銀板にあてるとこのようになります。

これは1巡目のマゼンタ。銀板の磨きが悪かったのか少し濁っているように見えます。マゼンタの周りに最初に出た淡い黄色が見えますね。

さらに濃いマゼンタが出るまでヨウ素をあてたバージョン。すでに感光化しているので、日の光に当ててしまったらもう使えません。

こちらは2巡目の黄色です。1巡目よりも濃くなります。
(かなりムラがありますのであまり良い例ではありませんが。)

これらはあえて明るいところで撮影していますが、実際には暗室でこれらの色を確認しなければなりません。

セーフライトの下だと、この色がわからないので、懐中電灯を白い壁に反射させてその反射光でプレートの色を確認します。見えづらい場合はプレートの角度を変えてみてください。

さて、ではヨウ素は銀板が何色になるまであてれば良いのか・・・というところですが、ここは正直なところ好みによると思います。 ヨウ素と臭素のコンビネーションはたくさんあり、それによって画像やトーンが驚くほど変化します。
ここについての化学的な説明は今のところ私にや役不足です。

ヨウ素で淡いマゼンタまで持っていくのが一般的だと思いますが、いろいろな意見があるため、一概に正しい答えはありません。非常に複雑な条件が絡み合っているが故に、簡単に何色が良い、とは言えないのです。

ここはひたすら回数を重ねて自分のレシピを確立させてゆくのが一番だと思います。

**続く**

Advertisements