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最近「湿板写真」や「湿板」等で検索されてサイトに訪れる方が増えてきましたので、今さらですが湿板について簡単に説明したいと思います。
(より詳しい説明はWikipediaの写真湿板や、湿板法の時代の到来をご覧ください。また、もし私の文章に間違いなどございましたらご指摘いただければ幸いです。)

歴史的な背景はきちんとした文献に譲るとして、時代的には1850年台に発明された手法ですので、「古典技法」の仲間に入ります。 日本で一番有名なのは坂本龍馬の写真です。

湿板写真の他の呼び方、あるいは総称に含まれるものとして、

– 湿板
– コロジオン湿板, コロジオン湿板写真
– ガラス湿板, ガラス湿板写真
– ガラス写真(ガラス乾板もこう呼ばれることがあります。)
– 湿板ガラス
– アンブロタイプ(ガラス板に撮影されたもの)
– ティンタイプ(金属、主にブリキを黒く着色したものの上撮影されたもの)
– 硝子どり
– wet plate *湿板の英語訳
– wet plate collodion *コロジオン湿板の英語訳
– ambortype *アンブロタイプの英語訳
– tintype *ティンタイプの英語訳

などがあります。

いったいどんな写真なのかというと、一言で言うと、“ガラス板や金属板に薬品を塗布してその上に撮影された写真” です。

薬品が濡れている状態で撮影することから、湿った板を意味する「湿板」(しっぱん)と呼ばれます。(湿板の後の時代のものは乾いている板に撮影するため「乾板」(かんぱん)と呼ばれます。)

またその技法を、湿板法、湿板写真法、コロジオン法、コロジオン湿板法、コロジオンプロセスなどと呼びます。

私は主にガラスしか用いませんが、湿板を知らない人からは、ガラスに写真を転写したの?とよく聞かれます。
転写ではなく、ガラス一枚一枚に薬品を塗って、要はフィルムのように感光膜を自分で作ってその上に直接撮影していますので、同じものはたった一枚しか作れません。
もちろん何度も同じ被写体を撮影することは可能ですが、微妙な光の加減、湿度、温度、薬品の劣化具合やその塗り方一つで表情が変化しますので、まったく同じ物は作れないわけです。(そこに価値があります。)  またガラスの場合は割れてしまう、という儚さも持ち合わせています。

写真技法というより、いろいろな薬品を調合する化学に近いようなプロセスですが、ガラスに映し出された被写体はとても奥行きがあり、デジタル写真やフィルム写真とはまた違う表情をしています。 また紙やデジタルと違ってとても物質的です。 言葉で説明するより実物を見ていただくのが一番手っ取り早いです。私の周りで湿板写真を実際に見せたときに感動しなかった人は一人もいません。 もちろん私も言葉では聞いていたものの、初めて見たときは衝撃でした。パソコンの画像だけではその質感や奥行きは伝わらないのです。
(ebayサイトで、ambrotype(アンブロタイプ)と検索いただくと、大切にケースにつめられた昔の湿板の宝物感が少し伝わってきます。)

最近は湿板を撮られる方も増えていますし、写真展なども以前より多く行われているようですので機会がありましたら実物をぜひご覧になってみてください。